特殊加工印刷の新晃社 > 印刷会社ブログTOP > ブログ > デザインの雑学など > 【知っておくべきデータ処理】ラスタライズ化とは
公開日:2024年07月23日
デザイン業務を行う際に「ラスタライズ化」という用語を耳にしたことはないでしょうか。これは、グラフィックデザインや印刷業界において非常に重要なプロセスです。この記事では、ラスタライズ化とは何か、その手順、メリット、デメリットについて詳しく説明します。
ラスタライズ化とは、ベクター形式の画像などをピクセル単位のラスタ形式に変換する処理です。ラスタ形式に変換した画像は「ラスタ画像」または「ビットマップ画像」と呼ばれます。
ベクター画像は、パスを用いて定義されるため、どんなサイズでも劣化せずに表示できます。しかし、ベクター形式を表示できるアプリケーションがインストールされていないPCやスマートフォンの場合は、ベクター画像がサポートされておらず表示することはできません。一方、ラスタ画像はピクセルの集合体で構成されるため、特定の解像度に依存しますが、すべてのユーザーに一貫したビジュアルを表示させることができます。
上記の画像はわかりやすく説明するための例なので、かなりギザギザの画像になっていますが、実際は適切な解像度に設定することで、問題なく表示することができます。
ラスタライズ化することによって得られるメリットには以下のような点があります。
冒頭部分でも説明した通り、ラスタライズ化は、画像やグラフィックがどのデバイスやプラットフォームでも一貫して表示されるようにするために重要です。また、クライアントや関係各所にファイルを共有する際にも、ラスタ形式のファイルは汎用性が高く、トラブルを回避できます。
画像をトリミングしたり、配置するなどの編集作業が必要な場合に、アプリケーションがベクター形式に対応していないと作業はできません。ラスタ画像は様々なアプリケーションで開くことができる互換性に優れています。但し、後述するように編集できる範囲には制限がありますので注意しましょう。
ベクター画像は非常に多くのパスがあったり、リッチな効果を施していたりする場合、それに伴ってデータサイズも膨大になる傾向があります。ラスタ画像はピクセル単位の画像であるため、そのような影響を受けずにデータサイズを適切に設定することができます。
一方で、ラスタライズ化によるデメリットと、その対応策になります。
高解像度のラスタ画像はデータサイズが大きくなります。そのため、デザイン作業をする際に処理が重くなったり、データの受け渡し時に転送量が多くなってしまうことがあります。必要以上に解像度を高くせず、適切な解像度を設定することが重要です。
ラスタ画像はベクター画像に比べて編集が制限されます。簡単なトリミングや配置程度であればほとんど問題ありませんが、色を変えたい、形状を変えたいなどの編集には不向きです。ベクター画像をラスタライズ化する場合は、必ずラスタライズ化する前のデータも残しておきましょう。
Adobe Illustratorを使用したラスタライズ化の手順を説明します。
ラスタライズ化したいベクター画像をAdobe Illustratorで開きます。
選択ツールを使用して、開いたベクター画像をクリックして選択します。
次に、上部メニューの「オブジェクト」から「ラスタライズ」を選択します。このコマンドを選ぶことで、ラスタライズの設定ウィンドウが表示されます。
設定ウィンドウでは、以下のようなさまざまなオプションを設定できます。
【カラー・グレースケール・白黒】
ラスタライズ化する画像のカラーモードを選択します。通常は「CMYK」を選びますが、必要に応じて「グレースケール」や「白黒」を選択することもできます。
【解像度】
解像度は、画像の詳細度を決定します。高解像度(例えば300dpi)は印刷物に適しており、低解像度(72dpi)はWeb表示に適しています。目的に応じて適切な解像度を設定します。
【透明度の維持】
画像に透明部分が含まれている場合、「透明度を保持」にチェックを入れることで、ラスタライズ後も透明部分を保持できます。
【アンチエイリアス】
アンチエイリアスをオンにすることで、エッジが滑らかになり、ジャギーが目立ちにくくなります。
【クリッピングマスク】
通常使用しませんので、チェックボックスは空欄のままにしておきます。
すべての設定を確認し、「OK」をクリックすると、選択したベクターオブジェクトがラスタ画像に変換されます。
ラスタライズされた画像は、Illustratorドキュメント内で使用することができます。必要に応じて、別の形式(PNGやJPEG)で保存することも可能です。上部メニューの「ファイル」から「書き出し」または「Web用に保存」を選択し、適切なフォーマットとオプションを選んで保存します。
ラスタライズ化のプロセスは、一貫した表示やファイル互換性などデータ処理において非常に重要です。表示できない、ファイルが開かないなどといったトラブルを回避し、データ活用の幅を広げるために、ラスタライズ化の重要性を理解しておきましょう。
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