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公開日:2024年12月25日
デザインで「和の雰囲気を出したい」「日本の文化を感じさせたい」といった表現をするには、伝統的な和柄文様が効果的です。
そもそも和柄とは、日本の伝統文様を規則正しく並べたものを指します。この和柄には、自然をモチーフにしたものが多く存在しており、一つ一つに縁起の良い由来や意味が込められています。
海外からの評価も高い和柄文様。古風なデザインでまとめたり、モダンなデザインと組み合わせたりなど、様々な手法に取り入れることで、注目を集めること間違いなしです。今回は是非知っておきたい和柄文様をご紹介いたします。
青海波とは、扇状に重なる波を規則的に繰り返す吉祥柄で、果てしない波が未来永劫の平穏や子孫繁栄を象徴します。古く大陸から伝わり、雅楽「青海波」が名の由来とされ、江戸時代の舞人衣装には四段の波形があしらわれました。日本では穏やかな大海原をイメージしたおめでたい柄として様々な場面で重宝され、扇形が末広がりの幸運を象徴するため、結婚祝いなどにも広く用いられます。
七宝文様は仏教の七宝に由来し、円を四方八方に重ねることで永遠の連鎖や繁栄、円満、調和を象徴する吉祥柄です。「四方」「十方」とも呼ばれ、訛って「七宝」になったといわれます。輪違い文とも呼ばれ、江戸切子などにも多用されます。円(縁)が広がる様子は人間関係の豊かさを願う意味も込められています。
籠目は竹籠の網目を模した吉祥柄で、三角形を重ねた星型(六芒星)が邪気を払うとされています。江戸時代には浴衣に使われ、鬼が嫌う文様として重宝されました。幼児のお宮参りに籠目のざるをかぶせた犬張子を贈る習わしも魔除けの願いからとされています。襖紙や壁紙などインテリアにも活かされており、「厄除け」「魔除け」を願う文様とされています。
麻の葉をかたどった正六角形を基本とし、神聖な植物とされる麻の成長力にあやかり、魔除けや子どもの健やかな成長を願う柄とされています。平安時代には仏教の衣服に用いられ、江戸時代には着物の流行文様となりました。魔除けの象徴として産着に使う風習もあり、現在も様々なデザインに取り入れられています。
桔梗麻の葉は、桔梗の花と麻の葉を組み合わせた文様で、子どもの健康や魔除け、さらに「永遠の愛」を象徴するといわれます。桔梗の花言葉には「永遠の愛」があり、成長の早い麻には子どもの健やかな育ちを願う意味が込められています。家紋や神紋をはじめ、伝統工芸など幅広い分野で使われ、縁起の良い柄とされています。
石畳は、正方形を異なる色で交互に配した柄で、連続する四角が絶えず続くことから繁栄や発展の象徴といわれています。江戸期の歌舞伎俳優・佐野川市松が装束に取り入れたことで市松の名前で広く知られるようになり、能装束や建築装飾にも使われてきました。東京オリンピック2020のエンブレムとしても用いられています。
鱗文様は三角形を交互に配した幾何学柄で、蛇の鱗を象徴するとされ、厄除けや再生を願う意味があります。古くは土器や古墳壁画に描かれ、呪術的意味を持つと考えられました。脱皮を連想することで災厄を払う力があるとされ、新たな始まりを示す柄ともいわれます。
矢絣は矢羽根をモチーフとした文様で、古来より弓矢の象徴として魔除けを願う破魔矢に通じる縁起柄です。江戸時代以降、「射た矢が戻らない」ことから結婚に際して花嫁の着物に好まれ、出戻りのない幸運を示すようになったとも伝えられます。力強い直線が印象的で、女子学生の卒業式の着物柄としても人気です。
立涌は、波状の二本線が膨らみを生む幾何学文様で、水蒸気や雲が立ち昇る様子を表しているともいわれます。平安時代には貴族の装束に取り入れられ、格式の高い有職文様とされています。ふくらんだ部分に雲や波、草花などを組み合わせることで多彩なバリエーションが生まれ、運気上昇を願う場面にふさわしい吉祥柄とされています。
紗綾形は卍(まんじ)を斜めに崩して連続文様とした柄で、「不断長久」を表す吉祥文様の一つです。古くはインドや中国など広範囲で用いられ、家の繁栄や長寿を願う意味が込められてきたとされています。紗綾織という織物に使われていたことから紗綾形と呼ぶようになったといわれており、現在も着物や襖、舞台装飾など、多彩な場面で親しまれています。
亀甲文様は、正六角形を連続させ亀の甲羅を表す柄で、長寿を象徴する吉祥文様です。もとは中国から伝わったとされ、平安時代から鎌倉時代にかけて公家の調度品などに取り入れられたようです。「鶴は千年、亀は万年」の思想や、陰陽道では六角形が安定や調和を示すとされ、縁起が良いと考えられています。連なりは安定感を高め、吉事を招く象徴ともされ、二層重ねの文様は「子持ち亀甲」と呼ばれることもあります。
菱文様は、平行四辺形を基本とする伝統的な幾何学柄で、縄文時代の土器にも用いられたといわれます。ヒシ科の植物から着想を得たともされ、繁殖力の高さが「子孫繁栄」や「無病息災」の願いに結びついています。平安時代には公家装束にも用いられており、シンプルな形ながら縁起の良い文様として、襖紙や壁紙などにも広く取り入れられています。
花菱は四枚の花びらを菱形状に配した有職文様の一つで、中国由来の唐花が原型とされます。平安時代以降、貴族の装飾や調度品に多用され、上品さや格式の高さを象徴する柄として継承されてきました。長寿や子孫繁栄の願いが込められており、婚礼などのおめでたい場面に用いられるほか、家紋にも使われるなど、優美な意匠が特徴です。
松皮菱は、大きな菱形の上下に小さな菱を重ね、松の樹皮を思わせる幾何学文様です。常緑の松が長寿や厄除けを象徴するとされるため、古くから吉祥文様として家紋や着物に広く採用されてきました。松の不老長寿のイメージが重なり、縁起を担ぐ装飾としても重宝されています。
梅は冬の寒さの中で咲き、強い生命力や清廉潔白、長寿を象徴しています。平安時代から広く親しまれており、松竹梅の一つとして縁起が良く、家紋や着物、室内装飾など多彩な場面で活用されています。厳しい環境を耐え抜く姿から忍耐力を象徴するともいわれており、古来より、殺菌性と解毒作用で「百薬の長」と称され、清廉潔白な象徴として尊ばれてきました。
三崩しは、三本ずつの線を縦横に並べ、算木を崩した形に由来するといわれる幾何学的な文様です。別名「算木崩し」とも呼ばれ、檜や竹、葦を薄く編んだ網代模様にも似ているため、「豊穣」を象徴する縁起の良い柄として重宝されています。編まれた線の本数によって「一崩し」「二崩し」「四崩し」などバリエーションがあり、それぞれが異なる趣きを生み出します。
雷紋は雷や稲妻を象った文様で、稲妻が雨をもたらし万物を潤すと考えられたことから、「豊穣」「厄除け」「不断長久」を祈る縁起柄です。陶器や漆器、建築などに古くから使われ、1910年頃、日本初の中華そば店が浅草の九谷焼陶器店へ依頼した器にこの雷紋が取り入れられたことで、ラーメン鉢の定番模様として全国に広まったともされています。
釘抜文様は、大工道具の釘抜きに用いられる「座金」を図案化したもので、正方形の中にさらに小さな正方形を重ねた構成が特徴です。「苦を抜く」「九城を抜く」という語呂合わせから、魔除け・厄除け・勝利を表す吉祥柄といわれ、庶民から武将の家紋にも用いられるなど親しまれてきました。
檜垣文様は、檜の薄板を網代状に編んだ垣根「檜垣」を図案化した幾何学柄です。菱文様に通じる形から、無病息災の縁起を担ぐといわれます。斜め45度に連続するラインがリズミカルな印象を生み、床の間や天井などに古くから取り入れられてきました。色や配列の工夫によってさまざまな表情を演出でき、和洋を問わず幅広いシーンで見ることができます。
組亀甲は亀の甲羅をかたどった亀甲を三つ組み合わせ、何度も連続させた幾何学文様で、不老長寿や繁栄を象徴するといわれます。亀自体が長寿の縁起物とされるため、永遠の繁栄を願う吉祥柄として古くから用いられています。
今回は、デザインに役立つ多彩な和柄文様を紹介させて頂きました。チラシやパンフレット、またはパッケージのあしらいなどに用いることによって、デザインの表現がぐっと広がります。また、ご紹介した通りそれぞれの文様には意味が込められています。
例えば「青海波」は末広がりの幸運を象徴しています。一方で「桔梗麻の葉」は、子どもの健康や魔除け、永遠の愛を象徴するといわれています。どちらも美しい文様である事には間違いありませんが、意味を込めてデザインをするのであれば、用途に適した文様を使うのが良いでしょう。
当社でも和柄文様のデザインや、和を感じさせる印刷手法に取り組んでおり、こちらは参考事例の一つになります。
伝統文化×印刷技術「触り心地」のある折り紙「SAWARIGAMI」
中央に見えるのは、桔梗麻の葉です。右隣には七宝、左には立涌があります。これらの文様を折り紙に施した上に、疑似エンボス加工によって文様の部分が独特な立体感のある仕上がりになっています。
このSAWARIGAMIシリーズは「おもてなしセレクション 2024年」を受賞しており、デザインが素晴らしく、ユニークな日本のお土産として適しているとも評されました。今後も様々なデザインや印刷技術を駆使した取り組みにチャレンジしていきたいと思います。
日本の伝統的なデザインでお悩みの場合は、是非当社までご相談ください。和柄文様を取り入れたデザインと合わせて、印刷や加工での表現もご提案させて頂きます。
当社では、お問合せいただきました内容を確認し、ヒアリング・お打合せをさせていただいております。
その内容をふまえて、企画・デザイン・見積りを提出させていただきます。
印刷だけでなく、特殊加工・製本・丁合、封入などのアッセンブリから発送まで対応しております。
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